No.188 習慣化のカギは「環境づくり」

私たちはよく「習慣が大事」と耳にします。健康のために運動を続けたい、勉強を毎日やりたい、早寝早起きをしたい——そんな目標を立てても、多くの人が三日坊主で終わってしまうのはなぜでしょうか。答えはシンプルで、「意志の力」に頼りすぎているからです。人の気分やモチベーションは日によって揺れ動きます。だからこそ、本当に大切なのは「どんな状況でも自然と続けられる環境を先につくってしまうこと」なのです。

では、どうやって環境を整えればいいのでしょうか。ポイントは「最初から難しいことをやらない」ことにあります。たとえば、運動習慣を身につけたいと思ったとき、多くの人は「毎日30分走る」「週3回ジムに通う」といった大きな目標を掲げがちです。しかし、それは意気込みとしては素晴らしくても、現実には続けにくいものです。仕事が忙しい日や体調がすぐれない日には簡単に挫折してしまいます。

そこで大事なのが「小さく始める」ことです。1日1分のストレッチ、寝る前に軽く深呼吸する、朝起きたら水を一杯飲む。こうした“ハードルの低い行動”から始めることで「必ずできた」という成功体験を積み重ねることができます。小さな積み重ねが「自分は続けられる」という自信になり、やがてそれが「癖」となっていきます。そして、この癖こそが本当の意味での「習慣」なのです。

面白いことに、人間の脳は「やったことがある」よりも「やりきったことがある」経験に強く反応すると言われています。つまり、どんなに小さなことでも“やりきる”経験を重ねるほどに、「やりきる自分」という自己イメージが定着しやすくなるのです。

ここで大切なのは「環境をどう設計するか」という視点です。たとえば本を読みたい人は、読みたい本を枕元に置いておく。運動を続けたい人は、トレーニングウェアを目につく場所に置いておく。そうしたちょっとした工夫で「やらない理由」を減らすことができます。

習慣化は根性で続けるものではありません。続けられる仕組みをどうつくるか、環境をどうデザインするかが勝負なのです。小さく始めて、必ずやりきる。その積み重ねが人生を変える大きな習慣につながっていきます。