こんにちは。
北千住のセミパーソナルスタジオSALUSの光次です。
今回のテーマは「腰痛」です。
「◯◯さえやれば治る」は、なぜバラバラなのか
SNSを開くと、毎日のように「腰痛は◯◯さえやれば治る」という情報が流れてきます。
- 骨盤の歪み
- 体幹の弱さ
- ストレッチ不足
どれももっともらしく聞こえるのに、言っていることはバラバラです。結局どれを信じればいいのか、分からなくなってしまうこともあると思います。
今日は、こうした「◯◯さえやれば治る」という情報そのものに、実は共通する落とし穴があるというお話をしたいと思います。
SNSの腰痛対策は「体の構造と動き」の話ばかり
SNSで発信されている腰痛対策のほとんどは、体の構造や動きの話に終始しています。もちろん、それは大切な視点です。私自身も、レッスンの中でよくお伝えしていることです。
ただ、こんな経験をしたことのある方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
- 職場を変えたら、いつの間にか腰痛がなくなっていた
- 子育てが少し落ち着いた頃に、気づいたら腰の痛みを忘れていた
これは決して珍しい話ではありません。そして、体の構造だけでは説明がつかない現象です。
痛みは「生物・心理・社会」の3つが絡み合ってできている
医療の世界では、痛みを一つの側面だけで見るのではなく、「生物・心理・社会モデル」という考え方に基づいて捉えます。人の痛みは、体という生物学的な要因だけでなく、心理的な要因や社会的な要因が絡み合って生まれている、という考え方です。
腰痛に当てはめると、次のようになります。
① 生物学的な要因
- 姿勢、筋力、動きの癖など
- 私がレッスンでよくお話ししていることや、SNSで語られていることの、ほとんどがここに当たります
② 心理的な要因
- 不安や緊張
- 痛みそのものへの恐怖心
- 「またあの痛みが出るんじゃないか」という不安が体を緊張させ、痛みを強くしたり、痛みの感受性を高めたりすることがあると言われています
③ 社会的な要因
- 職場の人間関係
- 働き方
- 家庭での役割
- ストレスの多い環境にいる期間と、腰痛が出る時期が重なるケースは、現場でもよく見られます
「職場を変えたら治った」の正体
先ほどの「職場を変えたら治った」「子育てが落ち着いたら治った」という例は、まさにこの社会的な要因(そこに含まれる心理的な要因も含めて)が変化したことで、痛みが軽くなったケースと考えられます。なぜなら、体の構造は何も変わっていないからです。
ここまでくると、「◯◯さえやれば治る」という情報に、なぜ違和感を持つべきなのかが見えてきます。生物・心理・社会の3つが絡み合ってできている痛みを、体という一つの側面だけで説明しようとするのは、そもそも無理があるのです。だから、ある人には効いても、別の人にはまったく効かない、ということが起きるわけです。
とはいえ、仕事も子育ても手放せない
とはいえ、「じゃあ仕事を辞めよう」「子育てを放棄しよう」というのは、現実的な解決策ではありません。環境そのものを大きく変えるのは、簡単なことではないですよね。
では、そういう方は諦めるしかないのでしょうか。そんなことはありません。
「痛み日記」をつけてみる
現実的な方法として、痛みが強い日と楽な日を、簡単な日記につけてみるという方法があります。
その日の体の状態だけでなく、
- よく眠れたか
- 気になっていることがあったか
- 誰と、どんな時間を過ごしたか
といったことも、一緒にメモします。
実はこれは、慢性的な痛みに対する治療法として、医療の現場でもよく使われている方法です。「痛み日記」と呼ばれることもあり、自分の状態に気づきながら記録していく、いわゆる認知行動療法的なアプローチによって、痛みが実際に軽くなったり、日常の動作が改善したりした症例が、多く報告されています。
「これさえやれば治る」という単純な解決策ではありません。でも、こうした地味なことを少しずつ続けていくと、効果が積み上がっていくという根拠があります。
続けるうちに、
- 忙しい週は痛みが強くなりやすい
- ある人に会った日は、すごく調子がいい
といった、自分だけのパターンが見えてくることがあります。
腰だけを見つめると、痛みに敏感になってしまう
腰という一点だけを見つめていると、どうしてもそこにばかり意識が向いてしまいます。すると、痛みを感じるセンサーが敏感になったり、同じ刺激を受けても痛みを強く感じる(感受性が高まる)ことが、よくあります。
生活全体を記録して眺めてみることは、そうした痛みのとらえ方(認知)にいい影響を与え、改善への一歩になることが分かっています。
腰痛は、全体を見直すきっかけになる
これは、体の痛みだけの話ではないと私は思っています。
私たちは何か問題が起きたとき、つい「一つの原因」を探して、それさえ直せば解決すると考えがちです。でも実際には、体のことも人生の悩みも、いくつもの要因が絡み合って、今の状態を作っています。
腰痛が教えてくれるのは、もしかしたら、単純な答えを急がずに、自分を取り巻く全体をもう一度見渡してみるきっかけかもしれません。ぜひ、腰痛を「腰だけの問題」にせず、さらに言えば「体だけの問題」にもせず、自分の心や環境にも目を向けるきっかけとして、捉えていただけたらと思います。
今日のまとめ
- 「◯◯さえやれば治る」という情報は、体の構造という一つの側面だけを見ている
- 痛みは「生物・心理・社会」の3つが絡み合って生まれる(生物・心理・社会モデル)
- 職場や家庭の環境が変わって腰痛が軽くなるのは、体の構造以外の要因が痛みに関わっている証拠
- 痛みが強い日・楽な日を記録する「痛み日記」は、医療現場でも使われる方法
- 腰痛を、体だけでなく心や環境を見直すきっかけにする
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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